すぐれた講師陣を集める

 
 「教育は教員にあり」が米田の信念であったから、横浜専門学校は当初から第一級の学者を講師陣として招いた。初期の講師陣には、中山伊知郎(経済原論)、林頼三郎(刑法)、吉田久(民法)、高柳賢三(商法〉、太田哲三(会計)、上原専禄(商業政策)、山口茂(銀行論)、美濃部亮吉(商工経営)、風早八十二(社会政策)、上野陽一(経営)をはじめ、東京商大・中央大・東京帝大などからの鐸々たるメンバーが顔をそろえている。朝比奈宗源(倫理)、江本茂夫(英語)など、学生の記憶に長く残る、熱心で個性的な講師もいた。その薫陶こそ学生を大きく伸ばすと信じたからであり、またこの豪華講師陣が看板でもあった。

 専任教員スタッフも、若手を中心にしだいに整備された。そのなかには沼田嘉穂(会計)、久武雅夫(経済数学)など、のちにその道の大家になった人たちも少なくない。若い専任教員たちは、上記の鐸々たる講師陣と、当時の狭い教授室で膝をまじえて語りあい、刺激を受けることができた。そうした濃密な学問的空気が、活気をもって学生たちにつたえられていったのである。(『神奈川大学70年のあゆみ』から)
講師陣一覧